娘は、地域の小学校の支援級に在籍する、小学5年生の女の子です。
先日、そんな娘にとって初めての宿泊学習がありました。
向かった先は、県内の森林付近にあり自然体験ができる、
この地域では有名な宿泊施設です。
体験内容は杉板焼きや山登り、ディスクゴルフなど多岐にわたります。
体力に自信のない娘にとって、親子ともに山登りが一番不安な点でした。
事前に担任の先生に相談し、難しそうであれば途中で引き返すことも可能だということで、
万が一の場合は、その方向でお願いしておりました。
そして、待ちに待った宿泊学習当日。
担任の先生との事前の打ち合わせもバッチリ!
娘はニコニコで登校して行きました。
宿泊学習の間、私は常にスケジュールが書いてあるプリントを見つめ、
「今はこの時間なんだ」「もう少ししたら食事の時間だな」と、
楽しめているだろうかという期待と
心配で常にソワソワしていたと思います。
二日後、お迎えの時間がやってきました。
どんな表情で帰ってくるのかとドキドキで迎えに行きます。
娘を見た瞬間…
(あ、嫌な予感…)
そう思いました。
クラスごとに整列し、一番後ろに座る娘。
髪の毛は適当に結ばれ、俯いていました。
全体の先生のお話が終わり、支援級の先生から二日間の大体の様子を伺いました。
先生からは「とても頑張りました!」と
「途中、挫けそうになりながらも最後までやりきれました。」と
ありがたいお言葉を聞くことができました。
だけどなんでだろう?
娘のこの浮かない表情は?
心に引っ掛かりを感じつつ、とりあえず自宅に帰りました。
「宿泊学習、どうだった?楽しかった?」と聞くと、返ってきたことばは
「楽しくなかった…辛かった…」
親としてはショックなことばでした。
不安な気持ちを抑えつつ、何があったのか聞いてみました。
それは私たち親子と、先生の間の信頼関係を脅かす
悲しい内容でした。
一つ目は
食事の時に完食を強要され、食後自室のトイレでもどしてしまったと。
胃痛があり、全ては食べられないと先生(通常級の主任の先生)に伝えたが、
絶対に残さないで食べてください、と怒られ残せなかったとのこと。
二つ目は
山登りの時に、歩くのが遅く後ろから先生にグイグイ押された。
「こんなんじゃ、絶対修学旅行なんか行けないからね!」
「このままじゃ連れて行かないよ!」
と、とても怒られたと…。
※小さいことを含めるといくつか他にもモヤモヤした出来事がありました。
動揺を隠せませんでした。
心が重くなりました。
宿泊学習に行かせたのは私の判断ミスだったのだろうか。
でもきっと、先生も忙しかったし
先生方数人と、施設スタッフの方々だけで百人越えの児童を管理するのは
大変だったんだろう、と自分に言い聞かせました。
それと同時に、
「もう少し言い方があったのではないか」
「事前に不安な点はお話ししていたのに…」と
先生に対するモヤモヤした気持ちがずっと胸に残っていました。
宿泊学習明けの土日、振替休日が終わり、
自分の中のモヤモヤの熱が少し冷めてきた頃、ふとこんなことを思いました。
(信頼していた支援級の先生が、そんなことをするだろうか)
”やっぱり、先生にも何があったのか事実確認をしなくては”
”娘の話だけを聞き、勝手に判断するのは失礼だな”
と感じました。
娘を信じたい気持ちと、どうかこれまでの話が間違いであってほしいという
二つの気持ちの間で揺れ動いていたと思います。
登校初日、先生からの宿泊学習中の娘についての詳しい事後報告を聞き、
連れて行ってくださったお礼を伝え、じっくりお話をしました。
その時、娘の言っていた話についても思い切って聞いてみました。
結果から言いますと…
娘の言っていた話は、嘘でした。
娘に対し、先生方は沢山のフォローをしてくださいました。
食事については、常に隣に担任の先生がついていてくださり
「辛いならば無理して全てを食べなくてもいいよ」
と、優しく伝えてくれていたそうです。
山登り中の修学旅行についての発言も
全てなかったとのこと。
娘のペースで担任の先生と施設のスタッフの方とで
ゆっくり進み、無理せず途中で引き返したとのこと。
周りのお友達も
「頑張れー!」と応援してくれていたようです。
事実がわかり、なんでそんな嘘をついたのだろう?
食事を吐いてしまったって、
山登りを途中で引き返したって、
誰も責めはしないのに…
その瞬間、私はハッとしました。
嘘をつかせてしまったのは、私のせいかもしれない…
娘は軽度発達障害があるため、
周りの子どもたちと同じことをしようとしても
どうしても遅れが出てしまいます。
親の私は、支援級にいるのだから
足りないことは支援級の先生にフォローしてもらえるし、
周りの子どもたちも特性を知っているから
責められることもないだろう。
と、勝手に安心し宿泊学習に送り出していました。
しかし、娘にとっては違かったのです。
周りは怒らないで優しくしてくれるけど、
同じ学年のお友達と同じことができない自分。
食事を完食できずに食後に吐いてしまったこと。
山登りを最後まで登り切ることができなかったこと。
どちらもしょうがないことで、もちろん誰も責めてはいません。
ですが、娘にとっては
それは一つの「失敗」でした。
それらの出来事が思った通りにならなかったことを
人のせいにすることの方が
娘にとっては楽だったのかもしれない。
気づいた瞬間
胸が苦しくなりました。
自分(娘)だけ支援があっても、
みんなと同じ経験をさせてあげることが
娘のためだと思っていました。
きっと、これまではその考え方で良かったのだとは思います。
娘が支援級に入ったのは1年生の途中。
その時のIQは平均を少し下回る程度でした。
今は5年生。
半年ほど前の発達検査で出たIQは、
軽度知的障害の中の下くらいの値。
そして今は思春期真っ只中。
今回は、誰のせいでもなく
娘にとって今の環境が
合わなくなってきているのかもしれないと、
今後の進路を考えるきっかけともなりました。
普段の学校生活だけでは
おそらく気づけなかったと思います。
通常級の子どもたちと数日過ごす機会があったからこそ
見えてきた現実でした。
正解はまだわかりません。
今回の出来事は
娘を責めるのではなく、
娘を理解するための大切な経験になりました。
”周りの人間と比べなくてもいいよ
あなたはあなた”
と、言うだけなら簡単。
そんな言葉が頭をよぎりました。
親として、子どもの間に環境を整えてあげて
他者と比べず、自分は自分のままでいていいんだと。
できないことは恥ずかしいことではない、
それが自分で、
そんな自分に自信を持ってもらいたいと
そう思いました。
娘と一緒に
最善の今後を考えていきたいです。



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